【書評】ドローン情報戦(ブレット・ヴェリコヴィッチ)

レビュー
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ドローン配送実験を楽天が行うと発表したり、ドローンを活用したサービスがますます発展しそうな昨今。

えてしてこういう最先端の技術は軍事関係で発展することも多いです。

 

今回紹介する本はまさにそんなお話です。


アメリカ軍によるドローンを活用した対テロ作戦の様子を描いた本作。

作者はアメリカ軍のなかでも選び抜かれたエリートしか入れない特殊部隊に所属していた、ドローンによる対テロ特殊作戦リーダー経験者です。

 

本の帯によるとパラマウントが映画化権を取得したようですが、戦場の凄惨な描写やそこで戦う兵士たちの葛藤の心理的な描写はまさに映画のよう。

 

そんな本作をもう少し詳しく紹介します。

 

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『ドローン情報戦』の魅力:まるで映画のような描写

冒頭にも書きましたが、戦場その他の描写がまるで映画のようです。

 

主人公が特殊部隊にスカウトされて、その選考を受ける過程。

私はさまざまな変装をした。メークアップアーティストから、二二歳の私がどうすればうんと老けて見えるか習った。

(中略)

夜の模擬カクテルパーティでは、要人と「偶然」知り合う方法が教えられた。

 

主人公がイラクに派遣され、テロ組織をドローンで追跡したり、仲間の特殊部隊が襲撃するシーン。

そのときだった。

廊下の真ん中あたりに、まるで誰かが巨大な溶接用バーナーを噴射したような、目がくらむほど大きな閃光が突如現れた。眩しさに目を慣らそうとした次の瞬間、大きな爆発音がした。

(中略)

すべてはスローモーションのように見えた。コンクリートや鉄筋がむき出しになり、私は爆風で床に叩きつけられ、頭の上をまるで焼却炉の扉が突然開いたように熱風が通り過ぎていった。

(中略)

壁につかまったまま意識が朦朧としていたのだろう、気がついたら別の兵士が駆け寄ってきて私を揺さぶった。

「今すぐ防弾ベストを着るんだ!」

 

自分の命令一つで人の命を奪えるという責任の重さや、24時間気が休まらないストレスで精神がやられていく様子。

その日、エリックという兵士が私に会いにきた。

「今日のターゲットは誰だったんだ?」血だらけのままドアを開けて入ってきた彼が尋ねた。ターゲットを至近距離から撃ったのは彼だった。

(中略)

エリックはついさっき射殺した男の正体を知りたがってはいなかった。私が襲撃メンバー全員に任務についてブリーフィングしたときにそれは聞いている。本当に知りたがっていたのは、こういうことだった。あの男は殺害すべき人間だったのか?

(中略)

「心配するなエリック。あいつは悪党だった」私は言った。

エリックはそれを求めていたのだ。私は悪党と知っていて命を奪った。決して軽い気持ちでやったのではない。エリックだけじゃなく、私も男の死に責任を負っている。

私たちは二人とも殺害に手を染めたのだ。

 

まるで「ミッションインポッシブル」や「アルゴ」を観ているかのような気分になりました。

 

しかし本作の記述はすべて実話とのこと。

一部は米軍の校閲で公表不可や固有名詞の変更という措置がとられたようですが、基本的にはすべて事実のようです。

 

「アルゴ」のような世界は、いくら実話を基にしているとはいえ、「映画の世界」と思っていました。

実はそんな「映画の世界」は思ったより現実なのかもしれない。

ちょっとばかし戦争ってものが、リアルなものに感じられました。

 

 

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『ドローン情報戦』から学んだこと

最先端の技術も使いこなせる人や組織がいてこそ意味をもつ

本作では最先端の軍事ドローンを活用した作戦が何度も登場します。

主人公のチームはドローンの特徴を理解し、作戦を優位に進めますが、どんな組織や人でもドローンを活用できたわけではありません。

 

ドローンが投入された当初、市街地のごみ箱に爆弾が仕掛けられてないかを探して回るだけに使用され、うまく活用されていなかった場面。

 

戦争が終盤に近くなり、あらゆる軍事作戦がさまざまな省庁の認可が必要な官僚主義システムになり、機を逸する場面。

 

どんな最先端の技術も、それを使いこなせる有能な人材や組織体制でないと、宝の持ち腐れになってしまうと感じました。

 

何かを選ぶということは他を選ばないということ

主人公は9.11をきっかけに陸軍に飛び込み、紆余曲折を経てドローン作戦の指揮官という超エリートの道を歩みました。

 

常人には得ることのできないスキルを得て、また祖国のために戦う大きな責任を伴う仕事をする一方で、家族や恋人には作戦のことは一切話せず、やがて軍以外では生きられない人間になってしまいます。

 

訓練最終日の午後、私は高校時代の友達に連絡した。

(中略)

みんな大人になっていた。ジャックとブラッドは聞いていた通り銀行員をしていて、ジェニーは会計士、グレッグとスティーヴは弁護士になっていた。婚約したばかりの者も何人かいて、婚約者を連れてきていた。

(中略)

「あなたはどうなの」ジェニーが聞いてきた。「陸軍はどう?」

何も話せない私は、ただひとこと最高だよ、といった。訓練で教えられたとおり、たまたま近くに来てるんだ、そういって話を逸らした。

(中略)

酒を飲みながらみんなと話すうちに、昔が無性に恋しくなっていることに気づいた。大学をやめて以来、仕事が私の人生のすべてになっていたから、何もかもがもっとシンプルだった昔が懐かしかった。

 

僕らは人生のいろんな場面でいろんな選択をします。

そんな一つ一つの選択には、選ばれなかった選択肢が存在している。

何かを選ぶってことは、他の選択肢を選ばないってことなんだなと改めて感じました。

 

 

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