ニッケルなど電池材料のサプライチェーンを巡る争い

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2021年2月26日のこちらの記事についてです。

Nickel, cobalt price: 10 charts show China’s grip on battery supply chain to last decades - MINING.COM
Beijing's response to Biden executive order on critical minerals: "Artificial efforts to shift these chains and to decouple is not realistic."

 

要点

  • アメリカやヨーロッパは電池材料のサプライチェーンを自国で構築しようという動きを見せているが、アジア諸国よりコスト競争力が低いため苦労している
  • 一方で、中国・韓国・日本では、電池の正極材やプリカーサーのサプライチェーンは垂直統合されつつあり、それがコスト競争力や原料供給の安定性につながっている
  • ニッケルやコバルトの価格は2030年までは上昇が予想され、今後のEVの普及にはバッテリーコストを下げるブレークスルーが必要だろう

 

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アメリカ・バイデン政権は電池サプライチェーンを中国から移行させたい

最近のEVシフトで、電池の生産や電池材料の確保に各国力を入れています。

アメリカのバイデン大統領は、電池材料のサプライチェーンから中国を外して、供給の安全性や安定性を高めようとしています。

Executive Order on America's Supply Chains | The White House
     By the authority vested in me as President by the Constitution and the laws of the United States of America, it is hereby ordered as

 

これに対して中国政府は「非現実的な話だ」と一蹴しています。

 

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電池原料のサプライチェーンは垂直統合されつつある

EVに使用されるバッテリーの正極材は、ニッケル・コバルト・マンガンの組み合わせであることが多いです。

 

そして今回の記事によると、正極材の中間原料であるプリカーサーのサプライチェーンは垂直統合されつつあるそうです。

特にニッケルは50%以上が鉱山での採掘工程または製錬所での製錬工程から統合されています。

 

カソードの製造においては、リサイクル原料の割合が高いため、まだ垂直統合はさほど進んでいませんが、今後は統合されていくだろうと述べられています。

 

垂直統合することのメリットは、

  • 原料(鉱物)の調達が安定する
  • 市場の要求に増産に対応しやすい
  • 製造コストを低く抑えられる

等あります。

 

そして記事でもう一つ言及されていたのは、この垂直統合が進み、カソードの自国供給が進んでいるのが、中国・韓国・日本であるということです。

 

これに対して、アメリカ・ヨーロッパはかなり水を開けられており、政府が自国生産を推し進めようと当面はアジアに原料供給を頼らざるを得ないと指摘しています。

 

カソードとプリカーサーとは?

ちなみにカソードとプリカーサーとは何でしょうか?

 

カソードとは電池の正極です。

 

プリカーサーは、カソードを作るときの中間原料です。

カソードの作成は何段階かの工程を経て行われますが、その前半の工程で生まれた中間原料をプリカーサーと呼んでいます。

プリカーサーをリチウム原料と混ぜて、炉で焼くと正極材ができます。

 

参考

住友鉱、EV電池正極材の増産加速 需要増で安定供給
住友金属鉱山が電気自動車(EV)用リチウ...

 

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電池原料の価格は2030年まで上昇の見込み

プリカーサーやカソードのコストは、2030年までに1.5倍程度に上昇する見込みが示されています。

 

当然バッテリーのコストはEVの価格に影響を与えますので、EVの普及にはバッテリーコストを下げる技術的ブレークスルーが必要であると記事は締められています。

 

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今回のニュース記事の感想

原料となる鉱物が政治の道具となる感じは、なんとなくレアアースを巡る争いと似ていますね…

コバルトやマンガンは市場規模も他の金属より小さいと思いますので、価格のボラティリティが高くなりそうです。

 

そうすると、製造者(あるいは国)の発言力が高まるのに加えて、これらの原料を使用しないバッテリーの研究開発が進むのではないでしょうか。

 

実際テスラのイーロン・マスクは、かねてからニッケル等の価格が高すぎると言っており、鉄系のバッテリーの開発を進めています。

https://www.mining.com/web/musk-says-nickel-is-biggest-concern-for-electric-car-batteries/

 

またサプライチェーンの垂直統合の話は興味深かったです。

 

原料となる鉱物は地球が作った資源で有限なので、結局この奪い合いになるのかなと思います。

そうすると、採掘権を他社より高く買えるか、工場の生産ラインを増強できるか、ということが重要になり、投資できる体力をどれだけ持っているかというのが勝負の行方を左右しそうです。

他より先に動く機動力も大事ですね。

 

やはり中国が強そうです…

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