メーカー志望の学生のみなさん、こんにちは。
メーカーの就活で必ずあるのが「工場見学」です。
- 工場見学って何するの?
- なんか準備していったほうがいいの?
- ぶっちゃけ採用選考と関係あるの?
など、いろいろ疑問に思うことがあるかもしれません。
そこで今回は、メーカーで技術職として働き、学生対応も何度もしたことがあるワタクシが、就活における工場見学のイロハをお教えしましょう。
結論から言いますと
- 建前はどうであれ、工場見学は採用選考に大なり小なり関係がある
- 設備やプロセスだけでなく、工場で働く「人」についても知るつもりで参加しよう
- 工場見学は受け入れる方もけっこう大変
アドバイスも記していますので、目次をクリックしてそこだけでも読んでみてください。
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就活において工場見学は選考に関係あるのか

そもそも工場見学って選考に関係あるの?
「会社による」というのが回答なのでしょうが、それでは身も蓋もありません。
筆者が就活をしていたときや、筆者が就活生を受け入れる立場になったときも、たいていの場合は案内に「採用には関係ありません」と書いてあることが多かったです。
本当にその通り「関係ない」企業もあるのかもしれませんが、工場見学が採用選考に100%関係ない企業はほとんどないのではないでしょうか。
あとで書きますが、学生を工場見学に呼ぶっていうのは結構コストも手間もかかります。
僻地の工場でしたら交通費も大抵は支給しないといけないですし、受け入れを対応する現地社員の労力もなかなかのものです。
それだけのコストを会社が負担しているにもかかわらず、採用・選考に100%全く関係ないという企業はほとんどないのではないでしょうか。
筆者の勤めていた会社も、表向きは「採用活動には関係ありません」と言っていましたが、裏では学生対応にあたった社員全員に印象評価の記入用紙が配布されてました。

なるほど~
選考に関係ないって言われても鵜吞みにしないほうがいいんだね
それでは工場見学は採用や選考に「どの程度」関係するのでしょうか?
工場見学のイベントが就活のどのフェーズで発生したかによって、ある程度は想像ができます。
まず初期段階での工場見学は、仕事内容や勤務地の理解を深めてから選考・入社してほしいというミスマッチ防止の意味が強いです。
時間をかけて面接や面談を進めて、やっぱり田舎で働きたくないと断られてしまったら会社も時間を損してしまいます。

選考中に断られるならまだしも、内定後や入社後に「やっぱり思っていたのと違った」と内定辞退や退職されてしまったら大変だもんね~
そういったリスクを避けるために、工場勤務や製造業で働くことが向いていない人物をある程度スクリーニングするというのが、初期段階の工場見学の大きな役割です。
一方で、選考プロセスがある程度進んでからの工場見学は、選考の色がかなり強くなります。
なんなら「選考プロセスの一環です」と採用担当者に言われるかもしれません。
この場合の工場見学は、将来あなたと一緒に働く可能性が高い現場の社員の目から評価するということが最大の目的です。
つまり、現地の社員から「こいつと一緒に働きたい」「あいつは鍛えがいがある」と評価される場です。
こういった工場見学で良い評価を得ることができた場合は、次は役員などによる最終面接ということも少なくありません。
志望度が高い企業でしたら後述のように万全の準備をして工場見学に臨みましょう。
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- 工場見学は採用選考にまったく関係ない企業はほとんどない
- 選考初期での工場見学の目的は「ミスマッチ防止のためのスクリーニング」
- 選考終盤での工場見学の目的は「現地社員による評価」
就活における工場見学での目標設定のしかた

工場見学が大なり小なり選考に関係していることはわかったよ。

それじゃあ、いったい何を目標に参加するのがいいんだろう?
就活初期段階の工場見学の場合
先ほど述べたように、就活初期段階での工場見学はミスマッチ防止が大きな目的の一つです。
この場合、なにより意識すべきは知識を増やすことです。
業界・会社・工場についての理解を深めることです。
- 「〇〇業界ってこんなビジネスをしてるんだ」
- 「その中でもこの会社は△△の事業が特徴なんだ」
- 「この工場の××のプロセスは技術力が高いんだ」
など初歩的なことを、現場・現物で学びましょう。
もちろん事前に予習していくことは必須ですが、現地で現物を見て、専門家に生で解説してもらうことで、
- 「この原料があの設備で処理されて製品になるのか」
- 「この設備で使われているのはこういう化学反応なのか」
- 「原料の確保はこんなに広い倉庫を駆使してやっているのか」
など学びが格段に増します。
また、設備や製品だけでなく、そこで働く「人」に関する理解を深めるのも大事です。
たとえば
- 案内してくれた社員の人は普段どういう仕事をしているのか
- 若手はどういった業務を担当することが多いのか
- 自分がやってみたい仕事をしている人はどんな経験を積んだ人なのか
など「人」についてもアンテナをはりましょう。
そうすると例えば、
- R&D(研究開発)は工場ではほとんど行われず、本社や研究所の人が担当している
- 若手のうち研究開発のキャリアを歩めるのは半数で、残り半数は工場の生産管理や品質管理を担当することになる
- 会社説明会ではグローバルに働けることを謳っていたけど、若手のうちはほとんどチャンスがなさそう
など、ホームページや説明会だけでは見えなかった情報が確実に見えてきます。

なるほど…
現場で「物(設備・プロセス)」と「人」を見るのが大事なんだな

- 自分がこの会社に入社して、この工場に配属されたら、どんな仕事をするのか。
- 自分がやりたいと思っていた仕事ができるようになるには、どういう経験を積まないといけなくて、この会社だとそれは何年くらいかかりそうなのか。
この2つが見えてくれば完璧な工場見学じゃないかな。

そうね。
もし工場見学した結果、「この会社はちょっとな…」と思ったとしても、選択肢を絞れたということで十分合格点じゃないかしら。
ある程度選考が進んだときの工場見学の場合
ゴールはただ一つです。
次のステップに進むこと。
ただ、実はまだ「本当にこの会社でいいのかな…」と、気持ちが固まっていないという人もいるかもしれません。
そういう人は先ほど述べた、「人」に関する理解を深めるということを意識するといいでしょう。
キャリアというのは千差万別で、人によって大きく異なります。
工場での仕事内容にやりがいを感じて頑張っている人もいますし、辞めたいなと思って毎日死んだ目をして出勤している人もいます。
見学や懇親会の場で、できる限り多くの社員とコミュニケーションをとって、自分の中のサンプル数を増やしていきましょう。
就活での工場見学の流れ

工場見学での心構えはわかったよ

でも具体的なことがまだイメージできてないから当日の流れを教えてくれ
就活・インターンシップでの工場見学の流れは概ね次の通りです。
- 集合
- 会社説明・工場説明
- 安全教育
- 着替え
- 工場見学
- 座談会・質問コーナー
- 懇親会
順番に簡単に説明していきましょう。
集合
集合場所は工場の立地によって大きく異なります。
公共交通機関があるようなところでしたら、工場内の会議室など現地集合の場合も多いでしょう。
一方、あまり交通機関が発達していないところですと、最寄りの駅に集合して全員でバス移動ということも少なくありません。
案内に必ず書いてありますので、よく読んで時間に余裕をもって行動しましょう。
不安な点があったら、迷わず早めに会社担当者に連絡しましょう。
会社説明・工場説明
まず最初に行われるのは会社や工場の説明です。
工場の人事担当者などが、会社全体の説明と工場の説明をパワポを使用して行います。
設備やプロセスの専門的な話はこのプレゼンではされないことが多いです。
安全教育
日本ではどの工場でも「安全第一」を掲げています。
そのためどの工場でも見学者に対して、見学にあたっての安全教育を行います。
といっても身構える必要はありません。
動いている設備に勝手に手を出すなとか、見学ルートから勝手に外れるなとか、当たり前のことがほとんどです。
説明はしっかり聞いてすべて守るようにしましょう。
先ほど言ったように工場は「安全第一」です。
安全を軽視するような行動をする学生はかなり印象が悪くなるので、安全教育はまじめに聞いて全て守るようにしましょう。
着替え
見学用の作業着に着替えたり、見学時に必要なヘルメットやマスク、保護メガネを支給されたりします。
安全教育で保護具のつけ方などはしっかり説明されると思いますので、教わった通りに着替えましょう。
工場見学
工場見学のスタイルは工場によって千差万別ですが、
- 数人のグループに分かれて、それぞれのグループに1~2人の社員がガイドにつく
- 各設備に専門の技術系社員が待機していて、事務系社員が引率して回っていく
というパターンが多いです。
設備によっては音がうるさく、説明が聞こえづらいこともあります。
なるべく説明してくれる社員の方の近くにポジションをとるようにしましょう。
座談会・質問コーナー
工場見学を終えると、質問コーナーや座談会が設けられることが多いです。
見学中に疑問に思ったことや、工場に関係ない会社全体のことなど、何でも積極的に質問しましょう。
懇親会
見学終了時刻が夕方であったり、田舎へ泊りがけの見学の場合は、社員との懇親会が設定されている場合も多いです。
懇親会なので建前上は任意参加となっているかと思いますが、「もう絶対この会社に入らない」という人以外は参加したほうがよいでしょう。
お酒が入ると、建前ではない本音の部分が少し見えたり、給料や休みの話もしやすいです。
タダ飯ですしね!
就活での工場見学のアドバイス

初めての工場見学は緊張するなぁ

よし。おじさんが特別にアドバイスをしてあげよう
工場見学参加前に予習はマスト
すでに何度か述べていますが、予習はマストです。
たとえば以下のような項目は会社のホームページなどを見て調べておいたほうがよいでしょう。
- その工場では何を作っているのか
- 製品はどういった業界の、どんな企業に販売されているのか(B to Bの場合)
- 原料は何なのか
- 会社の直近数年の経営はどうなのか
- その工場は会社にとってどんなポジションなのか(稼ぎ頭なのかなど)
多くの会社の採用ホームページには、社員紹介のコーナーがあると思います。
学生向けの工場見学をしている工場はほとんどの場合、その会社の基幹工場です。
つまり、社員紹介のコーナーには見学先の工場で働いている社員のインタビューも載っている可能性が高いので、ぜひ見学前に一読していきましょう。
工場見学の服装はスーツが無難
指定がなくてもスーツが無難です。
私服で行く場合も、工場なので節度ある格好をしていきましょう。
先ほど述べたように、安全を軽視する人は間違いなく切られます。
まちがっても短パンやサンダル、過度なアクセサリーで行かないようにしましょう。
工場見学では挨拶をしっかりしよう
「おはようございます」
「こんにちは」
「お疲れ様です」
「ありがとうございます」
何でもいいです。
挨拶をしましょう。
挨拶をするのは、見学を担当している人事担当者や現場で説明してくれる担当社員だけではありません。
受付の守衛の人、飲み物を出してくれる庶務の人、見学中すれ違う作業者の人。
会う人みんなに挨拶をしましょう。
簡単なことですが、だからこそできていないと、かなり印象は悪いです。
余計なところで足を引っ張られないように、あいさつはしっかりしておきましょう。
説明を担当してくれた人の名前を覚えておこう
おすすめなのが、説明を担当してくれた社員の方の名前を覚えておくことです。
これは懇親会や面接のときに効いてきます。
懇親会で本人に会ったときに「〇〇のプラントで説明された××さんですよね」と話しかけると、その人も「自分の説明をちゃんと聞いてる人がいたんだ」とうれしいはずです。
名前を覚えているということで興味がありますよということを示すことができるのです。
本人以外のほかの社員の人と話すときでも、「〇〇のプラントで××さんのこういう話が印象に残って」などとお話をすれば話題も膨らみます。
また、これは僕が就活をしていたときの面接での体験談ですが、「工場見学で何か印象に残っていることはありますか」というような質問をされました。
そのときに「〇〇さんという方がされた××という話がすごく印象的で…」という話をしたところ、「おお、〇〇君ね」みたいな感じで面接官の心象がかなり良くなりました。
実際に面接で使えるかはさておき、案内をしてくれた方の名前は覚えておいて損はないでしょう。
工場見学や座談会では積極的に質問をしよう
どうしても「質問をしない」=「興味がない」と捉えられてしまいます。
疑問に思ったことはどんどん質問しましょう。
ただし自分ばかりが質問しないように注意してください。
ほかの参加者も質問をしたいと思っているはずです。
そこを考慮せずに自分ばかり発言していたら、協調性がないと思われてしまいます。
ほかの人の質問・回答からさらに話題を膨らませられれば最強でしょう。
見学中はだいたい先頭と最後尾に案内者がついています。
設備は音が大きく、離れていると説明が聞こえないこともあるので、案内者の近くのポジションをキープして質問するようにしましょう。
また、見学だけでなく座談会の場でも積極的に質問をしましょう。
見学は若手がアテンドして、ある程度キャリアを積んだ管理職は座談会のみ出席ということもあります。
そういったときは、キャリアパスや他工場、海外での経験など聞くと、若手のエピソードとは違う内容が聞き出せてよいです。
座談会で一番困るのは、社員の人も口下手で沈黙の時間ができてしまうというパターンです。
工場見学で質問を出し尽くしてしまわないようにいくつかストックを残しておきましょう。
工場見学後の懇親会は参加したほうがよい
先述しましたが懇親会は参加したほうがよいです。
お酒が入ると、建前ではない本音の部分が少し見えたり、給料や休みの話もしやすいです。
ただし注意点も3つあります。
まずお客さん扱いされますが偉そうにしないようにしましょう。
敬語を使ったり、お酒を注いでもらったら両手で受けたり、注いでくれた人に注ぎ返すとか、気遣いを忘れないようにしましょう。
また、懇親会では普段の学生生活や技術系の場合は研究内容について質問されると思います。
自分の研究内容を人に説明できるようにしておくのは当たり前のことですが、たとえば「サークルでこんなイベントをやります」とか「バイトでは後輩の面倒をよく見るんです」とか「研究室では留学生と英語で四苦八苦しながらコミュニケーションとってるんです」などのエピソードがあると強いです。
- 他人と協力できるか
- コミュニケーションはちゃんととれるのか
- 嫌なことも我慢する忍耐強さがあるか
- 英語に苦手意識はないか
などをさりげなくアピールできるエピソードがあると好印象になります。
3つ目ですが、お金や休みの話ばかりしないようにしましょう。
もちろんこういった話をすることは全然タブーではありません。
しかしあまりにもこういった話題ばかりですと、いい気をしない人は少なくありません。

いや、まあ、お金も大事だけどさ…

今日見たのはそれだけじゃないだろ。もう少しマジメな話もしようぜ

メーカー社員、特に若手は薄給だしね…

東京の学生に休日の過ごし方を掘り下げられても、嫌みにしか聞こえないんだなぁ
工場見学から帰ったらお礼のメールをしておこう
気にしない人も多いですが、担当者によっては気にする人もいるので、しないよりしたほうがいいです。
5分で済みますしね。

どうせ5分で済むんだから、メールは早めに送ろう
メールには「〇〇のプラントの××なところがどうこうで印象的でした」や、「〇〇さんのこういう話を聞いてこう思いました」のような当日のエピソードを織り込むといいと思います。
担当者としても「やった甲斐はあったかな」という気持ちになれます。
工場見学を受け入れる技術系社員の本音

おじさん、本音をぶっちゃけちゃうぞ~
というわけで、技術系社員の視点から受け入れ側の本音を記します。
まず、これは学生に限りませんが、お客さんを案内するのはけっこう大変です。
現場に連絡して作業内容の調整をしてもらったり、管理職のスケジュールも抑えたり、もろもろ「めんどくさい」調整をしなければなりません。
加えて、半日、長くて1日拘束されますが、そのあいだ利益は何も生みだしません。
もちろん見学をきっかけに入社した人が、数年後に会社に貢献してくれるかもしれません。
しかし、技術系社員にとって「学生対応」は普段の仕事には何ら関係なく、つまり見学対応をしている間は自分が担当している仕事は何も進まないという状況が生まれます。
つまり工場の操業改善や生産管理といった目の前の業務に対応している若手技術系社員にとって、学生対応は完全にエクストラワークのため、「ちょっと大変だな」となるわけです。

そんな状況のなか、見学に来た学生が全然興味がない感じだとどうなるか、わかるな

わたしは「時間返せ」「やる気ない学生送ってくんなよ、クソ人事め」って思うわね

口が悪い…
就活での工場見学のポイントまとめ
いかがでしたでしょうか。
ポイントをまとめると以下の通りです。
アドバイスも書いてありますので、アドバイスの章もぜひご覧ください。
- 建前はどうであれ、工場見学は採用選考に大なり小なり関係がある
- 設備やプロセスだけでなく、工場で働く「人」についても知るつもりで参加しよう
- 工場見学は受け入れる方もけっこう大変
特定の企業の工場見学や選考に関する情報が知りたい場合は就活ノートへの登録(無料)がおすすめですよ。
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メーカー入社後の工場現場実習について書いた記事もあります。メーカーで働くことのイメージ作りの参考にしてください。
メーカーに限らず、転勤族の福利厚生制度について書いた記事もあります。
生産管理という業務をやった経験をまとめた記事もあります。
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