以前、工場での現場実習についての記事を書きましたが、管理人は新卒で入社してすぐに、とある地方の工場に赴任しました。
実習をした工場で数年後に「生産管理」という仕事を1年間やったのですが、そのときの体験談を今回はシェアしていきたいと思います。
- メーカーの内定者や新入社員・若手社員で、これから工場に配属されるかもしれない人
- メーカーへの就職や転職を考えていて、工場で働く可能性がある人
なんかには参考になる記事になっていると思います。
生産管理の仕事とは?業務の内容は?
まず「生産管理」とは一体どういった仕事でしょうか?
これは私の意見ですが、生産管理の業務とは、
だと思います。
言い換えると、
です。
このように書くと一見シンプルですが、実際の仕事はそう簡単ではありません。
なぜなら、工程とコストと品質と安全はどれかを志向するとどれかがおろそかになってしまい、この4つとも足並みそろえてレベルを上げていくというのが難しいからです。
多くの会社は安全を最優先にし、社会情勢や事業の特性、競合他社の動向、会社や工場の風土なんかをベースに、残りの3つのどれを優先していくのかを決めていきます。
これらの判断・実行を、現場に一番近いところで日々下していくのが、生産管理の仕事です。
生産管理はきつい?生産管理のやりがいは?
1年間という期間でしたが、実際やった感想としてはきついけどやりがいはあるなと思いました。
一生やっていくのはどうかなとは正直思いましたが、メーカーの技術屋として生きていく人間にとっては経験して良かったと思える仕事でした。
具体的なことをもう少し掘り下げていきましょう。
生産管理のきついところ
①設備・プロセスを絶対に止めてはいけないプレッシャーがある
一番きついのはこれですね。
設備やプロセスを止めてしまったら、当たり前ですが工場の製品は生まれません。
つまり工場ひいては会社の売り上げ(キャッシュ)が入ってこなくなるわけです。
これは工場の規模や製品の単価が大きくなるにつれて、インパクトが大きくなります。
1日生産が止まったら、ウン億円のキャッシュがなくなるとか大ダメージです。
そういった「絶対に止めてはいけない」プレッシャーは、特に生産管理になりたての頃はしんどかったです。
②現場のペースに合わせた仕事・生活のリズムになる
これは①に関係しているのですが、「絶対に止めてはいけない」と思うと、プロセスや現場の作業スケジュールに合わせて、自分の仕事や生活のスケジュールが決まっていきます。
〇時にこの工程が終わるから確認に行かないとなとか、それこそ現場でトラブルが発生したら解消されるまで張り付いていないといけないことも少なからずありました。
休みも自由に取ることはできず、かなり前もって代わりの人の予定を押さえたりしてましたね。
③現場は常に危険と隣り合わせ
これは仕事に慣れてくると忘れがちですが、大きな設備や複雑なプロセスを動かすことは、危険と隣り合わせです。
薬品を被液して薬傷、設備の可動部分に挟まれる、荷下ろしの玉掛け作業中に下敷きになるetc.の危険な作業が山ほどあります。
生産管理をしている自分自身は直接そういった危険な作業を実施することは少ないですが、管理をしている職場つまり自分の部下や請負業者の人たちがそういったケガをするリスクが常にあります。
自分の指示不足、思い込み、作業員とのコミュニケーションミスなどなどで、部下や請負をケガさせてしまう可能性は普通にあるので、始業前のミーティングや作業の巡回など気を抜ける場面はなかなかないです。
④物分かりのいい人ばかりではないよ
先ほど書いたように、生産管理の仕事は自分で何かを生み出すのではなく、部下や請負の人たちに仕事をやってもらうというものです。
なので「これをやってください」と仕事を指示・依頼するのですが、これが一筋縄でいかないことが少なくありません。
- 返事はいいけど全然分かっていなかった
- なんかすっげえ勘違いして伝わっていた
- 引き継いだ状況と現場が全然ちがう
- 作業者が勝手に判断して間違った方法で進めてしまった
なんてことが、まあたくさんあります。
こういった状況が発生しないように、指示の仕方を工夫したり、巡回の時に現場・現物を見ながらコミュニケーションをとったり、間違ったことをしていたら自分の親父より年上のおじさんでも心を鬼にして注意したり、まあストレスが溜まります。
生産管理のやりがい
①自分の仕事の成果が数字で表れる
これは生産管理のきつい部分①②の裏返しでもあるのですが、製品・キャッシュを生み出している部隊だからこそ、自分たちの仕事の成果が数字ですぐ表れるという特徴があります。
実際に手を動かすのは自分の部下だったり請負だったりするのですが、自分の段取りが悪かったりすると工程は遅れていきます。
その代わり自分たちの工夫で工程アップやコストダウンに成功すると、それが目に見える成果(数字)で返ってくるので、社会・会社の役に立っているなという実感を持つことができます。
②プロフェッショナルな人に刺激を受ける(職場によるかも)
これは職場によるかもしれませんが、私がいた部隊はけっこう職人気質の人がいました。
そういった方々の仕事に取り組む姿勢を見ていると、自分も頑張らなきゃな…と思わされます(小並感)
③若いうちから部下を持つ経験を積める
これは割と大きかった気がします。
生産管理を務めていたのは入社3年目とか4年目くらいだったのですが、それくらいの年で10数名の部下を持たせてもらいました。
危険と隣り合わせの職場で作業を指示したり、翌年の給与・賞与につながる人事考課や面談をしたりすると、この人たちの生活を預かっているんだなと本当に思わされます。
さすがに適当な仕事はできなくなりますよね。
上司の目線っていうのを体感することができたのが良かったです。
これから生産管理に携わる人へ経験者からアドバイス
とまあいろいろ書いてきたわけですが、せっかくなのでこれから生産管理に携わる方たちへ、偉そうにアドバイスを記そうと思います。
生産管理に携わる前の自分に言い聞かすつもりで書いております。
①危険に慣れるな
先ほどから何度か書いていますが、本当にケガにつながるような状況が割とその辺に転がっているんですよね。
生産管理になりたての頃とかは「これ危ねえな」とか思っていたことでも、慣れてくると悪い意味でそれが普通になってきてしまいます。
これはけっこう危ないです。
ぶっちゃけ管理職とか偉い人は現場のオペレーターが実際にどんな作業をやっているかとか深くは理解していません。
※そうじゃない会社もあるかもしれませんが、それは立派な会社・管理職だと思います
「これ危ないんじゃね」とケガや事故の芽を摘めるかどうかは、生産管理の腕にかかっていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
②伝わらなければ自分のせい
生産管理の仕事をしていると、いろんな人に指示をする機会があります。
しかし同じ内容・同じ伝え方でも、全然伝わり方が違うことがあります。
「さっきこう言ったじゃん」「何で分からないの」と思うこともあるかと思います。
また、自分が指示をしても思うように動かないのに、○○さんの指示だとみんなスムーズに動くななんて気づきもそのうち出てくるでしょう。
自分の指示が伝わっていなかったら、自分の伝え方が悪かったのだと思うようにしましょう。
作業員の中には正直びっくりするくらい理解力がない人もいます。
全然わかっていなくても返事だけ元気が良い人もいます。
そういう一人ひとりの特徴をできるだけ早く見抜いて、それに応じたコミュニケーションをしていく必要があります。
現場でトラブルが発生したときに困るのは結局自分です。
仕事中は発信主義=伝える方が責任を持つコミュニケーションを意識しましょう。
③目線のレイヤーを意識しろ
生産管理の仕事をしていると、現場⇔管理職、自職場⇔他職場のコミュニケーションのハブを司る場面が多々出てきます。
そんなときに意識してほしいのは、この人は何のためにコミュニケーションを図ってきているのか?です。
何でこの数字を聞いてきているのか。
この現象が発生したら次にどんなことが起こるのか。
こうしたことを想像しながらコミュニケーションをとると、スムーズに事が運んでいきます。
経験したから分かる、生産管理に向いている人とは?
いろいろ書いてきたわけですが、それでは生産管理に向いている人とはいったいどんな人でしょうか?
結論から言いますと、生産管理に向いている人なんて特にいません。
上に挙げたスキルは全部あとから身に付けられるものです。
自分には無理かもと今は思っていても、そのうちすぐにできるようになりますよ。
それでは
地方工場での勤務全般を振り返った記事もあります。
冒頭でもリンクを貼った新入社員時代の工場実習の記事です。しんどかった…
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