テスラがニューカレドニアのニッケル鉱山に関与してバッテリー原料確保へ

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今日は、テスラがニューカレドニアのニッケル鉱山に関与するというニュースについてです。

Tesla gets involved in Goro mine to secure nickel supply - MINING.COM
The EV maker will be a “technical and industrial partner" in the nickel mining complex, being acquired by a consortium including Trafigura.

 

要約は以下の通りです。

  • ヴァーレがニューカレドニアに保有するニッケル鉱山の権益を、Pronyというコンソーシアムに売却することに合意した
  • Pronyはスイスのコモディティ・トレーダーTrafiguraなどからなる。TeslaはPronyの “technical and industrial partnership” という位置づけ
  • Teslaは過去にリチウムやコバルトの原料確保にも動いており、リチウムイオン電池の正極材の主原料であるニッケルの確保にも力を入れていた

 

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テスラがニッケル鉱山に関与する?その内容は?

今回のニュースで対象となっているのは、ニューカレドニアゴロ鉱山 (Goro) というニッケル・コバルト鉱山です。

ニューカレドニアは日本ではリゾート地として有名ですが、実は世界第4位のニッケル産出国でもあります。

(ちなみにトップ3は、フィリピン・インドネシア・ロシア)

 

現在はヴァーレ(ティッカーシンボル:VALE)が権益を保有していますが、その51%をニューカレドニア地元政府へ、19%をTraifiguraに売却するとのことです。

同時に、2040年までにカーボンニュートラルを達成するという目標も掲げています。

 

売却金額は記事には記載ありませんでした。

後述しますが、ゴロ鉱山はゴタゴタ続きで価値は高くないと思います。

 

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ニューカレドニアのゴロ鉱山の問題とは?

このゴロ鉱山は実は問題山積の鉱山です。

 

まずは地元住民の激しい抗議運動です。

ゴロ鉱山にはニッケル製錬所も併設されているのですが、その酸性排水が近くの川へ与える環境影響について、激しい抗議があったようです。

また2014年には100m3もの酸性排水を流出させ、魚が大量死するという環境事故も発生させており、ニューカレドニア政府から操業停止処分も受けているようです。

Vale’s New Caledonia nickel plant under siege, up to m in damage - MINING.COM
Angry rioters attacked the nickel facility, which has been closed since early May after an estimated 100,000 litres of acid-tainted effluent polluted a nearby c...

 

さらに問題を複雑化させているのが、この抗議運動に政治が絡んでいることです。

ニューカレドニアはフランスの海外領土(特別共同体)なのですが、フランスからの独立を目指す政治団体が抗議運動を主導していると言われています。

彼らは、ニューカレドニアがフランスから経済的に独立するためには、ニッケル鉱山への関与を強めて鉱山からもっと利益を得ないといけないと考えているようです。

What's driving New Caledonian protests against Vale - MINING.COM
Riots erupted in December with protesters challenging Vale's latest attempt to sell its local business.

 

また、生産計画が長く未達である点も大きな問題です。

当初、年間60,000トンのニッケルを生産する計画だったようですが、それは達成できず2019年の実績は約1/3の23,400トンでした。

プラントの設計にミスがあったとも言われています。

 

このような理由から、ヴァーレ ($VALE) はゴロプロジェクトに関して16億ドルの評価損を2019年に計上しています。

 

また、ゴロ鉱山には、日本の三井物産と住友金属鉱山も以前は関わっていましたが、生産量の目標を達成できなかったりということで撤退しているようです。

住友金属鉱山と三井物産、ニューカレドニアのニッケル事業から撤退  - 化学業界の話題

 

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テスラがニッケル鉱山に関与する理由は?

テスラがニッケル鉱山へ関与する理由は、バッテリーの原料確保の安定性を高めるためです。

 

テスラはすでにアメリカ・ネバダ州のリチウム鉱山権益を確保したり、資源商社グレンコア (Glencore) とコバルトの調達契約を締結したりしています。

 

以前からイーロン・マスク氏は、鉱山会社はもっとニッケル原料を供給すべきだと言っており、ニッケルの供給安定度に高い関心を持っていました。

Tesla offers “giant contract” to responsible nickel miners - MINING.COM
Boss Elon Musk has a plea for mining companies: “Please mine more nickel.”

 

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今回のニュースの感想

ゴロ鉱山のゴタゴタは、途上国での資源ビジネスの難しさが全て詰まっているかのようでした。

そのようなプロジェクトを一部でも売却できて、ヴァーレにとってはメリットのある取引だったのではないでしょうか。

 

地元政府などが購入したようですが、計画生産量をずっと達成できていない設備で利益を上げていくのは難しいように感じます。

テスラもアドバイザーのような立場ですので、経営的なリスクは取らず、ノウハウを学んだり関係構築という程度の位置づけなのではないでしょうか。

 

いずれにせよ、テスラがバッテリーのサプライチェーンの垂直統合化を本気で目指しているのではないかと感じました。

 

テスラにはパナソニックがバッテリーを納めており、さらにそのバッテリーには日本の様々な企業が原材料を供給していると思われます。

日本企業にとっては、調達先を広げたり、安値で買い叩かれるのに対抗したり、正念場のような気がします。

「オタクの材料を使わないと、どうしても性能が発揮できないんですぅぅ」と言わせられるような技術・製品開発ができるかですね。

 

またバッテリーの性能アップには、世界中の大学や企業が取り組んでいます。

ライバルより早く商品化して、得た収益を研究開発に再投資して、技術的に圧倒的優位の立場を早く構築できれば、ライバルを市場から駆逐でき、価格支配力も強まります。

(分野は違いますが、半導体ファウンドリーのTSMCみたいな感じ)

 

一方で、研究開発に投資した金額がリターンを見込めないリスクもあるわけで、経営者にとっては難しい局面になっています。

JTC (Japanese Traditional Company) には苦手な局面ですね…

 

JTCが、海外のバッテリーメーカーの数ある下請けの一つとして、粗雑に扱われるような立場にはなってほしくないなぁ

 

 

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今回のニュースで学んだ英語

 

call for(求める、呼びかける)、reinforced(強化した)

The parties also called for reinforced environmental standards and set a target for the mining complex to be carbon neutral by 2040.

 

ailing(病んでいる)

The company decided to walk away from the ailing nickel operation in late 2019 due to mounting issues.

 

write-down(評価損の計上、評価減)

a $1.6 billion write-down related to the mining complex

 

churn out(量産する)

In 2019, the mine churned out just 23,400 tonnes of nickel, slightly over a third of its annual capacity.

 

plead(訴える)

Muck pleaded with miners last year to produce more nickel.

 

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